何も考えてないのよ、私。知ってるでしょう?

第22部──フリーランスから会社員に復帰しました

初出社、そして決意。

f:id:renox:20160201220931j:plain

初出社

月曜日に新しい会社に「初出社」した。
今年の初めにA社に初出社したときもそうだったが、私ぐらいのジョブホッパーになると「初日」ということに対する不安や緊張はまったくといっていい。
一般的に言って、知らない環境に飛び込むのはストレスフルなものだ。同僚はどんな人たちか、仕事は大変か、社風は自分に合いそうか、やりがいはあるかなど心配の種がたくさんある。色々と要らぬ心配をしてしまい、悪いイメージが増幅する。しかしそれは、転職の経験が無いあるいは少ないということが原因である。私に関しては、そのようなことは一切無いといっていい。素人ではない。今まで何回も転職してきたのだ。「初日」がどんなものなのかは、何回も転職してきたから経験的に知っている。
結局、郷に入っては郷に従うだけなのだ。何も考えずに飛び込めば何とかなる。悪くても早期退職してまた転職生活に戻るだけだ。

前日(日曜日)の夜は翌日に備えて早めに床に入る、ということはしなかった。私は小学生ではないのだ。前夜は、インターネットで「けいおん!」や「バクマン。」といったアニメを観た。元来アニメなど観ないタイプだが、最近は人生をより豊かに過ごすために2次元に軸足を移す、ということも視野に入れている。「けいおん!」や「バクマン。」はそのための足場固めのようなものだ。



0時に床に就いた

早寝で有名な私には珍しく、深夜0時を回ってから床に入った。しかしなぜかすぐに寝入ることができなかった。一瞬、明日のことで緊張しているのかなとも思ったがそれは思い過ごしだと思われた。というのも、先程来ご案内している通り、私は過去に何度も同じ状況を経験している。今年の年始にもA社に「初出社」した。1年で2度目の初出社なのだ。緊張するはずが無い。当夜にうまく寝入ることができなかったのは、前夜に寝すぎてしまったことが原因だ。
結局1時過ぎ頃まで布団の中でiPhone4でツイッターやmixiなどを閲覧していた。
早朝の4時過ぎに腹痛で目が覚めた。ひどい激痛でトイレに駆け込んだ。しかし排泄することも無く、また布団にもぐりこんだ。不思議な症状だった、1年に1回ぐらい、腹痛で目を覚ますということがある。そういったときは大体風邪を引いていたり、消化に悪い食物を食べたときだ。今回のようなケースは珍しい。前日に何かおかしなものを食べたわけでもない。私は布団の中でしばらく当惑しながら、おなかをさすっていた。おかしいな、と思った。まさか私ほどのジョブホッパーが「初出社」前夜に緊張でお腹を痛めているのだろうか。そんなはずは無いように思われた。たかが、「初出社」でそのような身体の不調が起きるはずがない。腹痛には何か別の理由があると考えたほうが自然だ。そういえば、前日の昼飯に私は自分でソース焼きそばを拵えた。それが腹痛の原因であるように思われた。そのとき私は1人前の焼きそばを拵えたのだが、野菜類が大量すぎたため、中途でもう1人前、麺を追加投入したのだ。甘い判断だった。私は転職に関してはかなりのエキスパートだが、料理に関してはずぶの素人だ。2人前の麺を入れてもなお、野菜の量が多すぎた。必定、味が薄くて不味いソース焼きそばが出来上がる。半分を薄味のまま食した私は、残り半分に「ウスターソース」を入れて味にメリハリをつけようとした。これが誤算だった。今度は、味が濃くなりすぎてしまったのだ。しかし薄いよりは濃いほうが良いと腹をくくり、時間をかけて完食した。これが、午前4時の腹痛の原因だと断定した次第だ。特に消化が悪いものではなく、またお腹に刺激的な食べ物でも無いが、このソース焼きそばを食べたことしか、理由が見当たらない。

6時半に起床

6時半に起床した。腹痛は感じなかったが、軽い頭痛がした。ここ数日の急激な気温の低下で風邪が流行っているらしい。私も風邪を引いてしまったのだろうか。一瞬、今日は会社を休もうかという思いが頭の中をかすめた。いや、むしろ、初出社は来週から、いや、年明けからの方が、両者にとって都合が良いのではないかとも思った。しかし、症状は軽いように思われたため、トースト2枚とヨーグルト、フルーツジュース、コーヒー1杯を平らげ、身支度を整えて、家を出た。

会社は小さな出版社だ。面接で2度ほど入ったのにもかかわらず、会社周辺で少し迷った。最近入手したiPhone4のマップアプリで会社の位置を調べようかと思ったが、iPhone4をつかいこなせていないので、逆に時間をロスするだけだと思われたので、止めた。おかしなことにこの時点ですでに頭痛の症状はなくなっていた。数時間だけのものだったようだ。不思議だ。
始業時間ぎりぎりに会社に着いた。面接で来た時にも感じたが、小さな出版社らしく「汚い」「狭い」「覇気がない」というすばらしい環境を備えていた。やっていけそうだ、と私は思った。こここそが、桃源郷だ。 

社長になろうと意志した

社長と社長の奥さん(経理)、編集者が3人、組版が2人の少数精鋭だ。どうやら私が最年少のようだ。編集者は、男性1人と50代の女性2人(主婦か?)。男性社員は社長の息子ではなさそうだ。組版は30代の女性2人。
ここでならやれると思った。機は熟した。私は28歳で来年の1月に29歳になる。今までまともな社会人人生を送ってこなかった。キャリアアップや自己啓発などまったくしてこなかった。資格取得やコネクションの構築も絶無だ。貯金もない。これからの社会人人生は、1年1年が勝負だ。とはいっても、まともに職歴を積み重ねることなど私のようなジョブホッパーにはできるはずがない。スキルを磨く、コネクションを作るなども私にはできそうにない。私は怠惰なのだ。常道を行ってはだめなのだ。
私は決断した。この会社を継ごう、と思った。現社長の後継者に躍り出よう。2代目になればいいではないか。よく考えたら、いやよく考えるまでもなく、私は平社員に甘んじているような器ではないように思われた。理由はないが、大人物なような気がしてならないのだ。今まで何度も会社を辞めてきたのは、業種、職種、社風、待遇、人間関係に問題があったのではないのだ。役職に問題があったのだ。平社員では駄目なのだ。社長になれば辞めないはずだ。大体、社長になったらいったい誰に辞表を出すというのか。出せないではないか。ということは、辞められないと言うことではないか。
コペルニクス的転回に私は身震いしてしまった。
今は、毎日の出社が楽しみでしかたない。