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派遣社員5ヶ月目雑感

派遣社員になって5ヶ月がたった。仕事が楽でほとんど定時上がりなので、心身ともにすこぶる健康と言いたいが、逆流性食道炎なので健康体とは言えない。この病気が医者の言うように「食った後すぐ横になるとなりやすい」からなのかネット情報通りストレスが原因なのかわからない。後者なら現状の、初めての派遣社員というのがあるいは食道炎にかかった理由かもしれぬ。ともあれ仕事は楽だ。編集アシスタントというポジションを与えられたものの私には気働きする気など毛頭なくてあまり編集部の皆さんのアシストをしているという気がしない。ワンフロアぶち抜きなので他の部署のアシスタントの皆さんの働きぶりがわかるのだけれど彼女らは一様に正規雇用の人たちの仕事を献身に支えているように見える。女性だからかしら。私以外はみんな快活で気が利きそうな妙齢の女性で、他部署の、特に男性の編集者は、その女性アシスタントたちに接する時どこか嬉しそうに口元がほころんでいてだらしなさすら感じる。しかしそんなことはどうでもよくて、私はこの5ヶ月時給1600円の派遣社員で働いてきたのだけれどいまだに自分の立場が掴みきれていない。仕事、同僚、会社などへの距離感というものがわからずにいる。いま私は編集補佐、総務、雑務、営業補佐など、小間使のように働いているが、総務や営業補佐の仕事では、いままでこの分野の業務にあまり携わってこなかったのでどうしてもわからないことがでてくる。そうでなくても総務というのは属人的な仕事が多い。以前の職場ではずっと正規雇用=長期雇用だったので、わからないまま放置するということはなく、わかる人に聞き、さらにできればその部分的業務だけでなく大局を理解することを意識して業務に取り組んでいた。しかしいまはわからないことはわかる人に丸投げしたりすることが多い。その後その人からわかるようにレクチャーを受けたりすることもない。どうせ有期雇用契約だしなという気になり仕事への距離感は遠いまま、すなわち深く理解するために仕事に対して距離を詰めるということをしない。同僚に対する距離感も同様に遠い。編集部の中には性別を問わず正直気になるような人はあまりいないのだけれど、十ぐらい年齢が上の男性記者2名に関してはちょっとお近付きになっていろいろ話をしたいという気がないではない。向こうもなんとなく私の経歴やなぜいま派遣社員で働いていて、これからどうするのかなどについて気になっているであろうことはたまに交わす雑談で察することができる。私も彼らの来歴や専門誌記者を長く続けることについての考えなどを聞きたいと思っている。先日その2名と私とで少し夜遅くまで同じ面倒な作業に取り組んだ折に、私が先においとま申し上げた時にそのような共同作業をこなした時に共有する連体感みたいなものがでてなんとなく今度酒でも飲もうよなどとなり、その時向こうは私になんとなく気を使っていたのはやはり派遣社員の私と向こうとでは立場的にやはり距離があり、お互いどう接していいかわからないということがあったからだと思う。あるいは気にしすぎなのかもしれないが、例えば私が逆の立場ならばやはり気にするというか、いままで長く正規で出版社で働いてきた34歳男性がキャリアチェンジのために派遣社員になって、毎日請求書の処理など雑務をこなし、前歴の仕事である編集にあまりタッチしないで日々寡黙に仕事に取り組んでいたら、どう接していいかわからなくなり、距離感を詰めるのに難儀すると思う。会社に対する距離感も正直よくわからない。そもそも雇用主は派遣会社。当然のごとく派遣先に対して愛社精神など皆無だから会社が今日倒産してもなんの痛痒も感じない。編集部がなくなってもなんとも思わないし、こう言ってはなんだけれど、いま作っている雑誌が廃刊になっても知ったことではない。私が仮にこのまま派遣を続けるならば別の会社を斡旋してもらうだけだ。話は変わるけれど私はいままで零細企業でしか働いてきたことがなかったのでいまの200人規模の会社で働くことで良い経験もできている。この会社は外資で世界的に見るとはとんど泣く子も黙るスーパー出版社なので日本法人もそれなりに地位と権威がある。働いている人たちも私がいままで働いてきた人たちとは一味違う。とにかく見てくれがスマートで仕事ができる風なのだ。実際は知らないが、少なくともみな外資系出版社感が半端ではない。私はそのような人とあまり接したことがなかったので従前の印象では彼らまたは彼女らは、鼻持ちならぬという先入観があったけれど実際はそんなことは全然なくて、多くの従業員は心に余裕のある温和な人たちで、周りに対して気遣いできる人たちに見える。実際は知らないが。そういう企業に身を置いて、小さなことだけれどわたしも恩恵を受けている。無料の茶や茶菓などは、些細なことだが貧民には嬉しい。毎日ペットボトルを買ったりコンビニコーヒーを買うのも結構な出費になる。トイレが綺麗なのも実は従業員にとっては重要だ。零細企業のトイレは男女兼用だったり、自分たちで清掃しなくてはならないのでそれがストレスだったりもする。ワンフロアぶち抜きというのも悪くないと思った。これが狭苦しい一部屋オフィスだったりしたらまわりの従業員の立てる音であったり独り言などにストレスを感じるけれど、だだっ広いオフィス空間は音や人の仕草など小さなことが気にならないものだと初めて知った。小さな会社だと頻繁な離席は周りに咎められるが、このクラスの企業になると例えば別部署の人のところへいったり、備品を取りに行ったり、離れた複合機のところへいったり、編集部の郵便受けを覗きに行ったりと、いくらでも離席できて気分がまぎれる。そういうこともストレス解消になると知った。オフィス家具も当たり前のように使いやすいハイレベルなものが揃っている。椅子は当たり前のようにオカムラのメッシュタイプのオフィスチェアで、パソコンのスペックも問題ない。外付けハードディスクが必要ならばIT部署に行けばいくらでも貸してくれる。ペンやノートなどの文具も不足することがない。零細企業でしか働いてこなかった私にとっては天国のようだ。反対にこの環境が当たり前と考えている人がいたら、憎い。ともあれ派遣社員になって初めて経験できた良い面は多岐にわたっている。しかし当たり前だが時給1600円ではやっていけない。下宿もままならない。というわけで明日は面接だ。受かるといいな。