退職理由5

今日は撮影だった。
僕は例によって突っ立っているだけだ。
先生が実演し、カメラマンが写真を撮り、編集者がもろもろ気を使う。
俺は木偶の坊みたいに佇んでいた。
初対面のカメラマンと名刺交換した時、カメラマンが冗談で、これが最初で最後にならないようにと笑って言った。みんなも笑った。先輩も苦笑い。
編集者というのはすぐ離職する。そういう業界。
俺は一連の流れで、ああ、辞めるのが普通なら俺が辞めるのも自然なことなんだな、と思った。編集者がすぐ辞めるのは一種の自然の摂理ということだ。それに俺が抵抗できますかってんだ。できるわけない。俺は小さな人間だから。神に辞めるお墨付きをもらったかのようだ。
明日も取材だ。俺がメインでやらなくてはならない。もう今晩にでもバイク便で辞表を社長宅にお届けしたい。