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3週目の月曜日

転職活動 社内ニート
今日、死んだ。
会社員として、死んだ。
午後、プレゼンに行った。
プレゼンなんてほとんど経験がない。
こちらは3名、向こうは5人も出てきた。
人が3名以上集まるところでは、ぼくは基本的に口を開かない。
なのに、8名ときた。
他の先輩は緊張していなかったように見えた。ぼくだけが緊張していた。
最初、先方は四人だった。四人ともフランクだった。これならばやれるかもと思った。
少し遅れて5人目が来た。部長だった。
名刺交換をした。
相手が出されたものを受け取ってからこちらのを出そうとしたら、「一緒に!」と怒られた。
一緒のタイミングで出すのか、知らなかった。そんなんで怒るなよ。
「本当に新人なんだね」と言われぼくの心は折れた。
会議室の空気が一変した。さっきまでの生ぬるい空気が消え、緊張感が充満した。
ぼくは着座した。すでに、息絶えていた。社会人歴10年。享年10歳の早逝だった。
プレゼンどうこうの前に、名刺交換で失敗するとは思わなかった。
ぼくは3番目の発表だった。順番が来るまえに、どうにか息を吹き返した。死んだままプレゼンするわけにはいかない。
発表した。途中まではいい感じだったが、最後はよくわからない尻切れになった。少し失笑された。
だから、ぼくは、死んだ。2度目。1時間で2度死んだ。
これが社会か。厳しい。
会社に戻り名刺交換の仕方を調べた。一緒にではなく、こちらから出すのが正解だった。
どうでもいい。ぼくはもう死んでいるので。死者に名刺交換など必要ない。
死者にプレゼンなど関係ない。
辞めようと思った。
5時半に仕事が終わった。帰りにハローワーク上野に寄った。
5時で閉まっていた。ぼくはまた、死んだ。3度目。ハローワークは、人を殺す機関だ。ハローワークが24時間営業ならば、自殺者数は半減すると思った。