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2015.06.06四阿山、根子岳

登山

日時:2015年6月6日(土)
場所:四阿山(2,354m、日本百名山26座目)・根子岳(2,207m)
天気:雨のち曇時々晴
ルート:菅平牧場⇒四阿山根子岳⇒菅平牧場
Start7:30、goal14:30(休憩含め7時間)
駐車場:菅平牧場no.1

初めてのレインウェア(アークテリクスbeta、35,000円)

午前7時半に菅平牧場脇の駐車場からスタートした。数分前まで綺麗に晴れ渡っていた空は、一瞬にして曇り空に変わり、あたりは深い霧に閉ざされてしまった。天気予報によると、朝の9時すぎごろから天候が回復するらしい。四阿山の山頂あたりまでは、曇天と小雨の中での山行を覚悟しなければならない。
牧場脇を5分ほど歩いて、すぐに四阿山の登山口に着いた。

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ここから登りだす。早くも小雨がパラパラと降ってきた。平地は暖かかったが、標高1,590mにある牧場は肌寒く感じた。服装は、patagoniaの「キャプリーン2」(長袖)とマーモットの半袖シャツ。
5分ほど歩いてから、僕と同行者の牛尾牛太郎はいったん止まって、ザックからレインウェアの上着をとり出して着た。数ヵ月前に「アークテリクス beta」を購入してから一度も着てなかったので、今回がはじめてのレインウェア着用である。
歩行を再開し、数分すると雨が止み、晴れ間が見えてきた。どうもはっきりしない天気だ。このまま晴れてくれればいいのだが。朝8時前の木漏れ日を浴びながら、森の中を歩いて行った。

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朝靄と新緑に包まれた山道をゆっくりと進んだ。小さな川を徒渉し、先行する年配の男性を追い越し、30分ほど歩いた。

モンベラー

少しだけ急な登り斜面を登ると、森を抜けた。周囲の木々の丈が低くなり、直射日光を受けながら進んだ。少しひらけたところに出た。

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気温が上がってきたので暑く感じてきたのだろう、牛太郎がモンベル製のレインウェアを脱いでザックにしまった。僕はまだ着たままだった。僕は全然暑くなかった。顔中に浮き出た玉のような汗をぬぐう牛太郎を見て、僕は内心、大きな優越感に浸っていた。そして思った。


「ふん、モンベラーめ。俺のレインウェアは君のものよりも2万円以上も高い、アークテリクス製の高機能レインなんだ。モンベルとは質が違うんだ。全然蒸れないぜ。貧乏人が。俺の「Beta sl」は35,000円だぞ、舐めんな!」


もちろんモンベルのレインにも「ストームクルーザー」というゴアを使った良質のレインウェアはある。しかし牛太郎のレインウェアは、「ストームクルーザー」よりレベルが劣る、非ゴアの「レインダンサー」だった。


「何が、「レインダンサー」だ。透湿性が低いから、ちょっと踊っただけで中が蒸れ蒸れになるくせに。俺の「beta」はゴア仕様だから、着たままフラメンゴだって踊れるぜ。お前は、一生阿波踊りでも踊ってろ!」


牛太郎がハンカチで汗を拭いながら、「レインウェア脱がないの?」と聞いてきたが、僕は聞こえないふりをして、水筒に入ったスポーツドリンクを飲んだ。そしてすぐにまた歩き出した。

パリコレのモデルかよ

ここから四阿山までは2時間ほどだ。予定通りいけば四阿山には10時過ぎには着くだろう。根子岳には途中の休憩をいれて、12時前ごろ着なので、昼飯は根子岳の山頂で食べるのが良さそうだ。
稜線に出るとまた小雨が降ってきた。冷たい風も吹いてきて、少し寒くなってきた。天気は少しずつ悪くなっていった。朝9時には回復すると思っていたが、時間が経つごとに雲が厚く、黒くどんよりとした空模様になってきた。途中のひらけた場所で立ち止まり、牛太郎がザックから取り出したレインウェアを、再度着込んだ。僕は牛太郎の透湿性の低いレインウェアを100円均一の雨合羽を見るような目で見て、心の中で「早く着てくれよ。脱いだり着たり、お前はパリコレのモデルかよ!」と毒づいていた。

 

ファナティックな山ボーイたち

僕は数年前のまだ僕がハイカー1年生だったころのことを思い出していた。その時、僕はいくつかのモンベル製品を持っていた。その中でもウインドブレーカーは、山でも、街でも良く着ていた。

僕のような薄給のサラリーマンには手ごろな価格だった。モンベルのウェアはデザインが野暮ったいといわれることが多いが、僕にはウェアの見た目の美醜について何か言えるよな美的センスはなかった。どれもボチボチのデザインに見えた。だからある時期までは、モンベル製品を重宝していた。

山歴2年生、3年生になり、いろいろな人たちと山行に出かけるようになり、同行者のウェアやギアのブランドを意識的に観察するようになった。すると、洒落た同年代の山ボーイ、山ガールは決してモンベル製品を身に着けていないことに気が付いた。
彼らは、パタゴニア、マムート、ミレー、アークテリクス、マーモット、ノースフェイス、アウトドアリサーチ、マウンテンハードウェア、マウンテンイクイップメント、エーグル、ホグロフス、rabなどのウェア・ザック・ギアを身にまとっていた。

超絶におしゃれな一部の急進的山ボーイは、クレッタルムーセン、山と道、アンドワンダー、ノローナ、フーディニなど、稀少かつ高価で、僕のような人間でも一目でシャレオツとわかるアウトドアブランドで身を固めていた。
彼らのうちの一部のファナティックな山ボーイは、モンベルを着用しているハイカーのことを侮蔑的に「モンベラ―」と呼んでいた。

僕は前述の通り、山でも街でもモンベルのウインドブレーカーを着ていた。とてもよく愛用していたといっていいほどだ。
しかし、山界でモンベラーを排斥する一部の暴徒に登山道で嘲笑されたら、僕のような飴細工の心を持つハイカーは、きっと心が折れ、注意散漫になって滑落事故死するのは自明であると思われた。死にたくないなと思った。
だから、僕は、泣く泣く、持っているモンベル製品のうちウェアだけをクローゼットの奥に隠し、封印した。以後、急進派と思われるような岳友と山に遊びに行くときは、アークテリクスやホグロフスやパタゴニアを着て出かけるようにした。

モンベルは捨てがたい

しかしモンベル製の小物類はいまだに現役だ。カップや座布団は今も重宝している。なにしろ値段が安いし、質もいい。もし僕の周りのハイカーが皆モンベラ―ならば、僕も彼ら同様すべてのウェアか、あるいは多くのウェアをモンベル社製で固めていただろう。しかし、僕はどちらかといえば、日和見主義者だ。ファナティックで急進的な山ボーイに迎合してしまった。一瞬にして僕の価値観は崩壊した。そして、気が付いたら反モンベルイデオロギーに毒されていた。山でモンベルのウェアを来ているハイカーとすれ違ったら、「こんにちは」と挨拶してから、心の中で「貧民がっ!」と侮蔑の言葉を投げつけていた。

僕もまた思想的にファナティックなハイカーになってしまったのだ。同行者の「レインダンサー」を見て、僕が優越感を覚えた理由は以上の通りである。

アークテリクスもまた……

登山道ではあいにくの空模様ではあるものの、土曜日ということもあって、多くのハイカーにすれ違った。ほとんどみんなレインウェアを着ていた。そしてやはり、モンベルを着ている人が多かった。特に50代以上のハイカーは、8割、9割がモンベルを愛用しているようだった。そして、残念ながらというべきか、非モンベルの中に、少なくない数のアークテリクス派が散見された。若者に多かった。霧と雨で、彼らのレインウェアが、僕の身に着けているものと同じタイプのものかどうかまではよく見えなかった。
「レインダンサー」を着た牛太郎の背中を見ながら歩いているとき、モンベルが一体なにをしたのだろうと考え込んでしまった。モンベルの何がそんなにいけないっていうのだろう。モンベルの製品はUNIQLOと違って、品質は良い。コスパを考えたらモンベルにかなうメーカーはない。デザインだって中の中ぐらいだ。ただ少し、ハイカーに普及しすぎてしまっているだけだ。なぜ私たち若手のハイカーがモンベルを忌み嫌うかというと、それは単に「カブるのが嫌だから」に過ぎないのではないか。山で自分のレインウェアと同じものを、例えば、60歳ぐらいのおじさん、おばさんが着ていたら、言いようのない恥ずかしさを感じてしまう。
しかし、カブるときはモンベルだろうがアークテリクスだろうがクレッタルムーセンだろうが、カブる。現にさっき何名かアークテリクスのウェアを見かけた。そう考えると、アークテリクスもまた、時代遅れの中途半端なブランドと言えるのかもしれない。

辰野社長、柳井社長、山井社長

近年、巷にはアークテリクスの「アロー」を背負った若人が雨後のタケノコのように溢れかえっている。渋谷や新宿の大きな交差点を渡れば、前方からアークテリクスのウェアを着たちょっとしたお洒落さんきどりの人に何人もすれ違う。トレンドの移り変わりは速い。ちょっと前まで流行っていたブランドが、瞬く間に人気を失い、権威は失墜し、嘲弄の的となる。僕は、時流に乗ることができない。なぜといって金銭的に豊かではないからだ。それによく考えたら、お洒落でもない。ただの日和見主義者だ。だとすれば、ウェアのブランドにこだわる必要などないのではないか。お金をかけて、気が付いたらいつもみんなと同じ時代遅れのウェアを着ているなんてばかばかしい。
ならば、最強はやはりモンベルになる気がする。しかし、と思わないではいられない。
モンベル社長の辰野氏のここ最近の虚栄心の発露ともいうべき、過剰な露出がどうも鼻につく。自伝刊行、新書創刊、「岳人」での独りよがりの編集。スノーピークの社長もすこし前のめりな気がするが、彼はまだこれから自社ブランドをもう一段高みにあげるための広報活動の一環と考えられるので、許す。モンベル社の社長の「出過ぎ感」は、UNIQLOの柳井氏の「出過ぎ感」に似ている。儲け過ぎている人たちに対して、拒否反応が出てしまう。ファナティックなハイカーとしては、体制派にNOを突き付けなければならない。

 

反体制の皆さん

いま、60代前半から中盤ぐらいの懐かしの腐れ左翼の皆さんは何にでも反対することで有名だった。勤めている会社にも一人か二人は必ずいる。その年代のインテリっぽい人たちは、よく山に親しんだ。彼らならきっといまのモンベル礼賛について一言物申してくれるはずだ。しかし彼らはもう年なので、山にはいない。その年代でいまだ現役の山屋は、一人静かに「ゴロー」を履いて南アルプスを歩いている。決して僕らとは交わらない。だから、しょうがなく、シャレオツで急進的でファナティックな若手ハイカーが、「アンドワンダー」や「山と道」を着て、反モンベルの論陣を張ることになる。何にでも反対する遺伝子は僕たちが受け継がさせていただいた。しょうもない。

 

四阿山から根子岳


10時に四阿山に到着した。ガスっていて何も見えない。そして寒かった。写真を数枚撮って早々に、根子岳のほうに向かった。

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尾根を少し歩き、少し下り、少し登り、根子岳には12時ぐらいについた。こちらもものすごくガスっていた。晴れていれば北アルプスが遠望できたのに、この日は何も見えなかった。

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空腹が最高潮に達していたので、お昼ご飯にした。スーパーで買った焼き肉用の牛を牛脂を使ってフライパンで焼いた。美味かった。肉とおにぎりと味噌汁、そして食後にコーヒーを飲んだ。

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山頂ではレインウェアの上にダウンを着ていたが、それでも寒かった。
山頂には30分ほど滞在してすぐに下山した。

少し歩くともう雨も霧も完全にはれて、雲間からは日の光も差し始めていた。森の中を抜け、牧場が見下ろせる東屋に到着した。ここで少し休憩し、20分ほどかけて車を停めている牧場わきの駐車場についた。
着替えてから売店でソフトクリームを食べた。

そのあと車で四阿山高原ホテルの日帰り温泉に寄った。まあまあだった。

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