僕は八百屋になりたい

出版社勤めが、辛い。

わけのわからない本をわけもなく一生懸命に拵えて、どうでもいい表記統一に拘泥して、なんかいも著者の先生だかわけのわからないおっさんだかおばさんだか洟垂れ坊主だかに著者校正してもらって鼻くそやコーヒーのシミのついた校正ゲラを確認しようにも字が汚くて読めねえよと毒づきそうになりながらもゲラを修正するDTPオペレーターにわかり良いように俺が青ペンだかで読みにくい字の横に読みやすい字で書き加えた字が先生方よりもさらに4段階ぐらい汚い字で正直テヘヘと思いつつもまあ仕事をしているがどうせ出版してもこのご時世取次も絞りに絞って委託部数も少なく配本された小部数もどうせ数ヵ月後に汚れて返本されてくるのが目に見えてるしそういう返品されてきたものと最初から最後まで絶賛在庫中のものを数年後に断裁するためだけに本を拵えてるくせに出版界隈の人たちは俺が文化を作ってるふうの得意げな顔をしていて僕はちょっと度肝を抜かれつつもまあ月給もらってるし仕方ないなと思えるのは勤続6ヶ月ぐらいまでなもんであとはひたすら怒りと不毛さと無気力と虚無感と非生産とかなんやかやとの闘いになるわけだけど基本的に安きに流れるのは人間の習性なので無気力状態が続いて少し気持が沈鬱になるなかで転職活動しようにもいまいち身が入らないで結局のところ八百屋になるしかないという結論に達したのが昨日なのだけれどもそれはまあ措いておいてなんていうかいまの会社の月給が低すぎて小出版社っていうのは人をというか従業員のマインドを破壊するだけなので基本的に社長だけでやっていくのが良いというかあとはまわりにいるフリーランスの人とよろしくやっていてくださいと思うけれども基本的にはどうでもいい本ばかり量産していてこれはもうなんていうか紙の無駄で要するにエコの観点からも時代にそぐわないので今あるどうでもいい出版社はもう9割がた潰れたほうが良いけれどそれは正直俺がとやかく言える立場にないが一つ言えるのはいつも偉そうなことをいうのは基本的に弁の立つ人や筆力のある人やその周辺にいる出版屋の皆さんなので彼らがごちゃごちゃしたり顔でどうでもいい意見を文字にのせて人びとに発信してくるのはこれはなんていうか暴力だよねっておじさんは思うなっていうか俺は思うようになったから俺は八百屋になると決心したのだけれどこのへんは素人のみんなにはちょっと分からない理路かなって思うので補足したいけれど要するに文字で書かれたことっていうのは基本的にうんこみたいな売文家が誇張や嘘で読む人をミスリードすることだけに執心してはっきり言って害悪以外の何物でもないからそういうふうに文字で書いたものを誰かに発信することで人びとのマインドを汚すことで原稿料を稼いだり自己顕示欲をみたそうとする人とその周りにいるすべての出版屋に僕は反吐が出そうになるので俺はこのたび八百屋になりたいと思った次第だけどそれなら別に電器屋や花屋やプログラマやカスタマーセンター屋でもいいのではないでしょうかと友人に言われてそれはそうだと思いつつもなんとなく八百屋になりたいというこの俺の情動を抑えることができないのは八百屋には読むべきマニュアル書もなければ学ぶべき言語もないしペンも紙もほんと言うとパソコンもいらない仕事なら別に肉屋でもいいかなって思いつつ肉は豚や牛や鳥肉を包丁で切るのが大変だななんて思ったりしてじゃあお花屋さんになろうかなって思ったけれど花言葉とかそういう二次的な情報は要らないし覚えたくもないからただただ新鮮でおいしい野菜をどこかの田舎町の農家から仕入れて有閑マダムに売りつけたい。