終わったよ

今日の午後2時31分に、私の生涯労働可能時間が上限に達した。
突然のことに少し驚いた。こんなに唐突にリミットに達するとは。予兆など一切なかった。ただ、脳内で誰か聞いたこともない声の主が「終了で~す」と一方的に宣言した。生涯労働可能時間とは、人が一生のうちで働ける労働時間のことである。あまり知られていないが、これは基本的に上限が設けられている。人は、一生のうちで働ける時間が決まっているのである。上限時間は人それぞれだ。40万時間の人もいれば、10万時間の人もいる。かなり少ない人になると1万時間、完全無欠のニートになると0時間。私の上限時間がどのくらいなのか、正確に算出していないのでくわしくはわからない。しかし32歳で生涯労働可能時間が上限に達したということは、日本人の平均値よりかなり低かったのだろう。どんな勤勉な人でも、怠惰な人でも、こういった上限値が設けられていることを、親や先生は子どもたちに教えるべきだと思う。実はこの上限値は、性格や生育環境、体力、知力、視力、預貯金、便の硬さ、座右の書、基礎代謝、服の趣味、爪の色、ストレス耐性、髪質など計1900項目を微に入り細に入り調べれば、誤差プラスマイナス5時間で予測することが可能とされている。このことは小学校ぐらいの年代で、知識として知っておくべきだと思う。適当な年齢になったときに、検査を義務化する必要もあるかもしれない。勤め人がうつ病になって自殺するケースがあるが、自殺の原因の一つはこのことと深くかかわりがある。もちろん、多くの自殺者はスーツやビジネスバッグといった非人道的なコスチュームによってフィジカルおよびメンタルをやられて、結果的に自殺に至るとする説が、私の研究で明らかになっている。詳しくは、『自殺とスーツ』をご一読いただきたい。生涯労働時間についての予備知識があれば防げた自殺は確かにある。たとえば自分の上限値が1万時間とする。1万時間というのは、1日×8時間×5日間×20日間×12ヶ月=1年間の労働時間である。つまり、上限値1万時間の人は、1年間働いたらもうそれ以上は働くことができないのである。しかし、残念ながら生涯労働可能時間の基本的な知識は、ほとんどの人に知られていない。勤め人、経営者、カウンセラーなど本来知っておくべき人たちすら、これっぽっちの知識も持ち合わせていない。知識が絶無なのだ。結果、1万時間を越えて働き続けることになる。自分自身では「あれ、なんかおかしいな」と自覚症状を感じる。しかし、たかだか1年の勤続で会社を辞めることなど常識的にありえないと考え、無理をして働き続ける。脳内を流れる終了宣言も空耳として、聞き流してしまう。まわりも、1年で退職するのなんて甘え以外のなにものでもないと考える。そうして、勤め人は心身ともに異常をきたす。体を壊して倒れるか、精神が破綻して、自死する。本当に悲しい。誰かが生涯労働時間についての基礎的知識を啓蒙する必要がある。幸い私は、初めてのエアー出勤時に、このことをある乞食のおじさんから教わった。桜木町にある横浜市の中央図書館の地階の談話室でいつも手製おにぎりをほおばっていた、すこし体臭のある乞食のおじさんが、はじめて私に声をかけてきたのは、2005年の4月7日午前11時のことだった。おじさんは、私の顔を見るなり開口一番、「下手に働くと30前に生涯労働可能時間のリミットに達するよ? 極力働かないほうがいいよ? エアー出勤とか今しかできないことを精一杯やりなよ?」とアドバイスしてくれ、生涯労働可能時間の基礎的知識をレクチャーしてくれた。爾来、私は、極力長期間の労働は避けてきた。しかし、3年前に入社した今の会社で、ノーストレスをいいことに漫然と働き続けてしまった。そして今日の午後2時半過ぎに、めでたくというか、残念ながらというのか、とにかく、リミットに達した。そして私は、好むと好まざるとに関わらず、勤め人としての生涯に幕を閉じた。32歳だった。

 

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しょこたん べすと――(°∀°)――!!

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