「缶詰最強説」

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 会社帰りに缶詰を買うために西友に立ち寄った。売り場に行くと、かなりたくさんの缶詰が売っていた。僕が探しているのは、弁当のおかずになる魚や肉の缶詰だ。フルーツの缶詰には用はない。価格は1缶あたり100円前後のものだけを買うことに決めていた。200円、300円の高級品は今はまだ不要だ。店内には99円の缶詰が20種類ぐらいあった。こんなに購買欲が高まったのは久しぶりだ。棚の上のほうから9種類9缶を買い物かごに入れ、レジに持って行った。1回に購入する缶詰は10缶以内というのが僕のささやかなポリシーだ。10缶目以降はまたの機会に購入しよう。レジのお兄さんに不思議な目で見られた気がしたが考え過ぎだろうか。まさか、僕が「平成の缶詰王」こと、全日本缶詰評議会の専務理事であるとはよもや思わなかっただろう。そうなのだ。僕こそは1週間前に、「缶詰最強説」をぶち上げ、「料理するのは雑魚キャラの証拠」と言い放ち、世間の料理評論家、栄養士、調理師、シェフ、料理タレント、お母さんたちを敵に回した新進気鋭の缶詰礼賛主義者兼全国缶詰評議会の名誉会長兼平成の缶詰王子なのだ。これからの時代は缶詰こそが食の中心になる。これは疑いようがない。誰だって缶詰のメリットを知れば、スーパーに買いだめに走るに決まっている。今はまだ下々の民が、缶詰の有用性に気が付いていないだけだ。悪いけれど、僕はそんな人たちを置いて彼らの40歩ぐらい先を歩ませてもらう。帰宅するとまずは缶詰にナンバリングした。1から9まで番号を振った。これから100、500と缶詰コレクションを増やしていくんだ。栄養価満点、保存料・殺菌剤が入っていないから健康にも良い。保存がきくから大震災への備えにも最適だ。僕みたいな弁当おじさんは、おかずとして会社に持っていくことだってできる。登山に携行するのも良い。「魚離れ」が叫ばれて久しい昨今、缶詰によって手軽にEPADHAを摂ることだって可能だ。缶詰にはたくさんの利点がある。可能性は無限大だ。これこそ缶詰最強説といわれるゆえんだ。素人さんたちはなぜこんなことにも気が付けないのだろう。残念だ。一方で僕のような缶詰ジャーナリスト兼缶詰特任大使がそのメリットを世間にうまくアピールできていないのも問題だ。その点は反省している。今後はメディアをうまく使って缶詰の有用性を下々の民に認知させていきたい。ナンバリングした缶詰はとりあえず、棚の隅に積んだ。家人に見つからないようにする必要があるから。なぜと言って、もし僕が不在のとき、お母さんか誰かに部屋を掃除されたりなんかして、大量の缶詰を発見されたら大変なことになるからだ。僕は31歳で実家暮らしだ。「実家暮らし最強説」を信奉している。ほとんど「実家暮らし原理主義者」といえる。そんな「いい年した実家暮らしの31歳のおっさん」の部屋に大量の缶詰があったら、お母さんはどう思うだろう。たとえばこれが本、ゲーム、カード、フィギュアなどだったら、それを認めるかどうかはお母さん次第だが、世間的にそういったものの蒐集家というのは一定数いるから、まだ理解してもらえると思う。でも、缶詰はどうだろう? 31歳の実家暮らしのおっさんが、突然缶詰を集めだしたら。そしてそれをお母さんが発見したら。お母さんは、「あの穀潰しめっ、なにいい年して缶詰集め腐ってんねん、ボケ。わけわからんわ。追い出したろ、あの餓鬼」ということにならないとも限らないではないか。ならば初手から対策を講じておく必要がある。缶詰をできるだけ目につかないように隠しておくのが得策だ。それでも万一お母さんに見つかってしまった場合は、幸いにして僕の趣味は登山なので、「缶詰は山に持っていくのに具合がいいんだ」とか「災害が起きた時のために買いだめしてあるんだ」とか言ってお母さんからの詰問をかわしたいと思っている。取り急ぎ、西友にある100円前後の缶詰を買い漁る。蒐集する。時たま、ストックから弁当用に持ち出す。また、時たま、山に持っていく。さらに、時たま、街に繰り出す時に携行する。どんな時でも、食糧は必携だ。どこでどんな災害に見舞われるかわからない。そんなときこそ缶詰だ。最強。でも一つだけ言いたいのは、缶詰の味に関して品評するのは野暮だってことだ。今までいくつもの缶詰を食べてきたが、一つたりとも、不味かったことはない。ただの一度も不味い缶詰にあたったことなどない。いつだって缶詰の味は折り紙つきだ。この安定感、最強伝説。缶詰を集める。今はそれが僕の生きがいだ。缶詰があれば強くなれる。缶詰が僕のアイデンティティだ。缶詰、最強。

 

いなば とり塩味 65g×3個入り

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