『妻と罰』、読んだ。

妻と罰 (文春文庫)

妻と罰 (文春文庫)

率直に言って872点だった。
土屋賢二は掛け値なしに天才だと思う。ギャグエッセイの第一人者にして唯一無二だと思う。皮肉でもなんでもなく、最高のエッセイストだと思う。本人はエッセイのなかで文才がないことをネタにしているが、一読すれば彼が只者ではないことは容易にわかる。ギャグセンスのない人は、わからないかもしれないが、少しでも読書経験のある人ならば彼のトリッキーな筆致に、素直に感服すると思う。ネタとしては、ほとんどワンパターンかもしれない。でも、パターン化してもそれをさらにずらして笑わせる能力は、さすがに哲学者だけあって、並の人間にはまねできない。率直に言って。誰もが――特に土屋氏の文庫のあとがきを書いている人たち――土屋氏の文体をまねたがるけれど、ほとんどすべて失敗する。土屋賢二はダチョウ倶楽部だと思う。いつもお決まりのギャグをやって、面白いのか面白くないのかわからないけど、なんだかんだで笑っちゃう。そしてほかの人が真似すると、うすら寒くなる。天才だ。「週刊文春」に連載を持っていて、俺もたまに読む。本書も「文春」に掲載されたものをまとめたものだ。たぶん。連載時に読んだものもあるかもしれないが、ぜんぜん覚えてない。率直に言って、『妻と罰』やその他の既刊本も、依然読んだことがあるような気がしてくる。実際に同じ本をだぶって買ったこともある。それほど文章がパターン化している。でも面白い。箸休めに読むには最適な本だと思う。毒にも薬にもならないけど、毒みたいな糞みたいな本ばかりの出版界において、エッセイスト界のダチョウ倶楽部である土屋氏は絶対必要な存在だ。