『逆に社会人①』 ヤングワークプラザで女神がほほ笑んだ

就職活動を始めて11カ月が過ぎた。応募した求人数は230を超えた。ここまでの道のりは長く険しいものだった。あと半月で師走を迎える。もう今年も残るところあとわずかだ。年末には応募総数が250ぐらいになっているだろう。ただこれは通過点に過ぎない。500社、1000社とさらなる高みを目指して精進したい。今後も険しい道のりが継続しそうだ。

230社、絶望的な数字だ。一体世の中の企業経営者は何をやっているんだろう。不況下でこそ守りに入らず、「先行投資」が必要なのではないだろうか。10年、20年先を見据えたビジョンをしっかりと持っているのだろうか。「攻めの一手」を打って私を雇うような気概のある会社はないのだろうか。ないのか、失望した!

自暴自棄になってはいけない。停滞している現状を打破すべく、新たな方策に打って出なければならない。一人ぼっちで就職活動をしていると、気持が鬱々としてくる。そしてその暗い気持が知らぬ間に表情や態度に出てしまう。下ばかり見て歩くようになったり消え入りそうな小声で喋ったり。それが面接に悪影響を及ぼし不採用の連絡を受けることになる。もちろん、それだけが不採用の原因ではないのだろうが、「元気がない」「覇気がない」と採用担当者に思われるのは、求職者にとってはマイナスだ。
一人で就職活動をしていると、勝手な思い込みや勘違いなどを起こしやすくなるものだ。過去の職歴の洗い出し方や自己評価、今後の進路などについて他者のアドバイスや突っ込みなどが、思わぬヒントになることもある。物事を別の角度から考えるというのはそうそう出来るものではない。他人の指摘が有効性を持つこともあるので、なるべく色々な人と接したほうがいい。

今まで私は、リクナビネクストやマイナビ転職などインターネットの就職サービスやハローワークを使って就活を進めてきた。奮闘むなしく、11か月間無職が続いている。この状況を打破すべく、過日、若者の就業支援をしているという「ヤングワークプラザ」に行ってきた。そこでいろいろなアドバイスを受けた。非常にためになった。

利用者が若者に制限されているためか、ハローワークと違い所内は閑散としていた。5つあるブースのうち、使用されているのは私のところだけだった。対応してくれたのは、50歳前後の親切な女性だった。
まず、経歴の棚卸しを行った。その際、持参していた履歴書をデスクの上に広げ、それにそって適宜説明を加えて話した。ここで一つ、問題が出来した。履歴書に載っている職歴は多少の修正を加えたものであり、私の本当の職歴ではない。履歴書には、3社分の職歴を記入している。1社目が出版社(雇用形態:正社員、勤務期間:2年)、2社目が調査会社(同:正社員、同:4ヶ月)、3社目が卸会社(同:アルバイト、同:5ヶ月)。この他、出版社の前に新卒で務めたIT会社を1ヶ月で辞め、調査会社と卸会社の間に、アルバイトで出版社に2ヶ月勤めた。私は、「履歴書に載せる職歴は3社まででそれ以上はtoo muchだ!」という持論を持っている。4社以上載せると人事担当者は求職者に対して悪い印象を抱く。転職回数が多すぎると敬遠される恐れがある。27歳で3回も退社したというのは褒められたことではないが、ぎりぎりセーフである、と私は思っている。また履歴書の学歴・職歴欄と言うのは、「横長」の履歴書を使った場合、左下から始まるものである。そのため、4社以上記載すると、「右上」にまたがってしまう(履歴書にもよるが)。そうなると「左下」「右上」にまたがって経歴を記入するほど転職回数を重ねている根性ナシと評価されてしまう恐れがある。よって、私は5社のうち恣意的に選んだ3社を記入することとしている。以前は、IT会社、出版社、卸会社の3社を記載していたが、1ヶ月で辞めた会社を履歴書に書くのは印象が悪いという理由で、IT会社に代えて調査会社を記載することにした。その結果、書類通過率があがったかと言うと、よくわからない。応募した230社のうちどの段階で、履歴書を「更新」したのか今となっては覚えていないので、分析することもかなわない。印象的に言えば、あんまかわらない、といったところか。それでも、これから履歴書及び職務経歴書を再更新するのは面倒くさいので今後もこれで行くつもりだ。

このことは正直にスタッフの女性に話した。1ヶ月しか勤めていない会社に関して、履歴から抹消したと伝えた。すると女性は、「まあ、それはいいと思う」と私の予想に反して、履歴書の更新・修正に賛成してくれた。彼女が言うには、3カ月以内に退職したところは履歴書に書く必要はないとのこと。やはり現場の人間は素晴らしいアドバイスをくれる。就職本・サイトでは聞けない本音だ。まあ、転職本の著者が「短期間で辞めた会社は記入する必要などないです」などと言ったら「非常識だ」と袋叩きに合うだろうが。
女性アドバイザーに職歴の書き換えについてお墨付きをもらった私は非常に勇気付けられた。短い社歴は書かなくていい。しかし、たとえば半年しか勤めていない会社について、1年間勤めた、などと職歴の改竄は行ってもいいのだろうか。これについて、アドバイザーに聞いてみたが、案の定、「ダメ」という答えが返ってきた。
このアドバイザーと二人三脚でやっていきたいと思い始めていた私は、本当のことを言うべきかどうかしばし思案した。目の前にある履歴書は、端折っている部分と数字に手を加えている部分がある。それについて告白すべきか…。黙考した。そして、黙っておこうと決心した。敵を欺くためにはまず味方から…。いや敵も味方もないか。まあいい。数字をいじっているといっても少しだけだ。細かいことは気にするな。

その後、「プラザ」が配布している履歴書・職務経歴書の書き方集をテキストにして応募書類の書き方を教わった。今まで私が提出していた応募書類には、大なり小なり様々な欠陥があったことが判明した。知らなかったことがたくさんあった。例えば、履歴書はB4ではなくA3が主流、記入は油性ではなく水性、顔写真は口角を上げるのが“流行り”など。私は無知だった。常識知らずのアンポンタンだった。これじゃあ就職もままならないわけだ。これを正せば、即就職みたいなものだ。自信がわいてきた。おばさんが女神にみえてきた(実際、写真は口角を上げるのが流行りだと言ったあとに手本を見せるようにニコッと笑った女性の顔は、50過ぎのおばさんにしては飛びぬけてキュートだった)。
次回、プラザに行く時はハローワークで求人検索をしてから来るように言われた。
この人と組めば早期に就職が決まるような気がした。