27歳男、リーマンショック後にエアー出勤をする⑳

なんの努力もせず、社会に不満をぶちまけてばかりいる人はよくないと思う。自分磨きや自己変革をしない人は努力不足だと思う。現状の自分に満足していたら、それ以上一歩も前に進めない。まず現状を直視し、自分に何が足りないかを考察すべきだと思う。そしてどうしたら足りない部分を補えるか、その方策を腰を据えて考えてみるべきだと思うな、僕は。

昨年秋からの世界不況の影響により国内の雇用が崩壊したのは自明の事実だ。求職者にとっては悲劇的な状況だ。ただ、逆にいえばこのご時世に就職戦線に出ている求職者はみんな勇者だ。そんな勇者様たちには特別給付金を支給すべきだが、お上は例によって愚鈍な政策ばかりを打ち出している。どんな政策かはよく知らないが。
そんな状況下でこそ、自分磨きが必要だ。個々人が強くなければ生きていけない。過剰な責任は負う必要はないけど、自分にできることだけはちゃんとやろう。
今、求職者に何ができるか。現在、就活戦線で獅子奮迅の活躍をしているスーパー求職者は何をしているのか。希代の戦士たちはいったいどのようにこの乱世を渡り歩いているのか。
今、最もポップなのは何か。
今最も流行っている自分磨きは何といってもこれだ。
「職歴詐称」。
職歴詐称とは穏やかじゃないね、と言う人があるいはあるかもしれない。それならこれでどうだ、「★職☆歴★詐☆称★」。
ね? ポップでしょう?

とはいえ、経歴詐称はやってはいけないことだ。私はそこまで落ちぶれてはいない。ただ、「職歴」に関しては、さまざまな解釈ができる。「職歴」に関する解釈は、「履歴書」が日本に初めて公布された1948年5月3日以来、様々な局面で議論になってきた。
議論の具体例としては、職歴とは正社員での就業のみを指すのか、契約社員・派遣社員・アルバイトでの雇用は職歴に入らないのか、ブランク期間は間引くなどして“手を入れて”もOKか、試用期間は職歴に入るのか、転職回数が多すぎると履歴書に書ききれないがその場合は取捨選択していいのか、など議論は絶えない。

リクルートが発行している求人誌の「質問コーナー」に、短い期間で辞めた仕事は履歴書に載せなくてもいいのですか? といった投書が寄せられていた。それに対する編集部の答えは次のようなものだった。
「ダミだよ。たとえ1か月で辞めてしまった会社でも履歴書には書き入れましょう。もし転職回数が多すぎで履歴書に書ききれない場合は、面接時に口頭で伝えましょう」
上記のような回答は、リクルートに限らず、ほとんどの求人誌・就職支援サイトで見かけるものだ。

「職歴はすべて記入すること。企業に嘘をついちゃダミ。嘘が露見した場合、解雇されても仕方ない。もし転職回数が多すぎて履歴書にすべての職歴が記入できないのであれば、面接時にその旨伝えること」
これを読んで、大多数の人は、今まで経験した職業を正直に履歴書に記入しようと思うだろう。しかし、そういう風に考えない人たちもいる。
「自分に都合のいい職歴だけを載せて、あとは面接時に『他に1,2社勤めた経験がございますが、紙幅の都合上、割愛させていただきました』と丁重に付言すれば、万事OK」という解釈も通る。
要するに、履歴書に何を記入し何を記入しないかは、求職者の恣意的解釈に依るといえなくもないわけだ。

とはいえ、勤めたことのない会社を記入したり、1か月で辞めた会社に10年以上も所属していたとかいうのは、さすがに無理がある(厚生年金の加入記録や職業能力などから嘘がばれる。…とはいえやりようによってはばれないかもしれない)

ともあれ、経歴詐称をするにしろしないにしろ、求職者がこの問題に関して頭を痛めているのは事実だ。政府及び就職支援企業及び有識者は、即刻「朝まで生テレビ」でこのことについて討論するべきだ。その場合、私も求職者代表として、出席する準備は、これはある、かもしれない。雇用の創出や助成金などの施策も大事だが、「職歴」についてのガイドライン作成にもそろそろ本腰を入れる時が来たのだ。田原さんは何をやっているんだ、総一郎は。

とまあここまで書いて、一つの疑念が浮かんできたことであろうことは容易に察しが付く。
果たして、実際の話、私は職歴の詐称をしているのか。いい質問だ。

先日無職仲間との会食の席で、「就職活動」が話題に挙がった。皆が、求職活動の苦労話を述べ立てていた。就職が決まらないとそれだけブランク期間が延び、面接官の印象を悪くするというスパイラルに陥ることを各氏が懸念していた。まさにその通りで、求職期間が長くなると、「こいつ○か月も就活してるのに、未だにどこの企業からも内定をもらえてないって、どんだけ腑抜けなんだよwwwってそんなやつを採用してたまるかYO」と見下される危険性がある。
このような窮地を脱するために、お手軽な自己変革として「職歴詐称」をする人が、今も昔もたくさんいると私は思う。

件の酒席で、私は友人たちに「経歴の詐称っていうのは可能なんですね。履歴書に記入しなくても、口頭で一言付け加えればいいわけだし」と述べた。
これを聞いた友人たちは苦笑していたが、顔には、「こいつ絶対経歴詐称してるやないか。ズッコイなwww縁切ったろwww」と書いてあった。
経歴云々の話は、そのあと別の話題に取って替ったから、それ以上私に対して疑惑の目は向かなかった。

それで結論として私の経歴がどのようになっているかというと、それについてはとりあえず、「秘密」と言わざるを得ない。ただ天地神明に誓って言うが、私が企業に提出している履歴書や経歴書には何の誇張もないし、嘘もない。それだけは信じてほしい。
それでも私の履歴書の“真相”を知りたい人が、しつこく難詰してくるかもしれない。「秘密」だけでは言葉足らずだ、もっと言葉を費やして説明すべきだ。説明責任を果たせと。「秘密」だけでは足りないと言ってくる人には、多少の言葉を追加し対応したい。私の人格や人柄やこれまで築き上げてきた徳に傷がつくかもしれないが、誤解を恐れずにこう言いたい。






「秘密・・・・のアッコちゃん☆☆」




と今回このようなオチ(!?)をつけたが、どうもしっくりこない。
なぜなら、「秘密・・・・のアッコちゃん」という言葉が先にあり、それを使用したかっただけでこのような話になったわけだから、それも無理からぬことだ。オチないから「☆」をつけること(2つも!)で何とかごまかしたつもりが、それが一層うすら寒い印象を与えてしまっているといえなくもない。今後は気をつけたい。




と書くことで、私の「職歴詐称問題」から「アッコちゃん問題」に、視線を逸らすことに成功していたらいいなぁと思った。