27歳男、リーマンショック後にエアー出勤をする⑥

『前回までのあらすじ』
就職先が決まらない私であったが、傷を負いながらも懸命に生きていた。
その姿は、美しかった。


それにしても2009年に入ってからこちら求人数が激減しているな、と私は思った。
ただ、いいじゃないかそれならそれでとも思った。結構なことだ。敵が強ければ強いほど私は燃えるタイプではなかったかと自問し、いやそうじゃなかったと自答した。敵が強いのはいやだなぁ。雑魚キャラの相手で手一杯だよ。もっと求人数増やしてほしいな。企業努力して下さい。

先日エンジャパンで求人検索していた折、どうもしっくりくる求人情報がないんだよなぁグリップの握りごこちがなぁと思い、パソコンを閉じようとした矢先、一つの求人広告が私の目に飛び込んできた。
それは芸能事務所のマネジャーを募集したものだった。ついに私も芸能の道に足を踏み入れるのかと高揚した気分で応募ボタンをクリックした。
その事務所は小規模ながら、そこそこ有名なアイドルタレントが数人所属している優良事務所であった。2,3のタレントは青年向け週刊紙のグラビアやテレビのクイズ番組で見かけたことがある。優良大学で学業を修めたことを売りにしている才色兼備のタレントも所属していることからも今後さらに躍進を遂げること必定のタレント事務所であるように思われた。やってみるかと私は思った。一寸、芸能界でものぞいて見聞でも広めてみるのも良いでしょう。うまくいけば担当タレントと結納を交わし、結婚、バラ色の夫婦生活、子育て、不倫、離婚、孤独死という人生の盛衰を味わえるかもしれない。

後日、メールで連絡が来た。
履歴書、職務経歴書を送ってくれという。
爾来、その企業とは付き合いが途絶えた。
タレント事務所でなど本当は働きたくなかったんでしょうね。
真面目に就活しなくてはいけませんね。
本当に何をやっているんでしょうね。
これだから無職はいやなんですよね。