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撤退4

独り暮らし

【前回までのあらすじ】
無職のため生活に困窮していた私は、財政再建を図るべく緊縮財政を打ち出した。







過日、88歳の女性が役所に10億円の寄付を申し出たというニュースをテレビで観た。
その女性は、「貯蓄のコツは倹約にある。10億円もそうやって貯めた」と言っていた。私はこれを聞いてなるほどと思った。何事においても成功者の言葉はとてもためになり、勇気付けられる。現在私が陥っている赤字財政など、生活を切り詰め貯蓄に励めば容易に解決できると思った。
倹約というのは要するに無駄遣いをしないという事だ。金がない金がないといっている人たちは、大体において無駄遣いをしすぎているように思われる。そういう私も浪費癖が付いてしまっており、それが現在の窮乏状態を招いていると思われる。
ためしに家計簿を開いてみる(今月から付け始めた)。以下にその一部を抜粋してみた。
11/1レモンティ(ベローチェ)190円
11/1菓子パン72円
11/1ポカリ(粉)85円
11/2昼食(天丼)500円
11/2クランキー89円
11/3いいちこ1499円
11/レンタルDVD300円
11/6どらやき59円
11/9クリアーファイル105円
11/14クッション580円
11/15スリッパ980円
11/15サッカー雑誌「Footbolista」280円
11/16大きな紙袋105円
ハッキリ言って、上に抜き出したすべてのものは買う必要のないものだった。まず、お菓子の類は別に口にする必要のないものである。甘いものがほしければ砂糖でも舐めておけこの馬鹿たれがと自分にいいたい。またDVDも別に借りなくても良かった。大して面白くもなかった記憶があるし内容も覚えていない。というか何を借りたかすらもう覚えていない。そんなものに300円もかけてしまった自分が愚かで恥ずかしい。さらにスリッパもクッションも別になくてもなにも不便はない。だいたい大きな紙袋って一体何なんだよ。
このほかにもたくさん無駄なものを購入しているがいちいちここには書かない。本当に有用なものなどほとんど買った記憶がない。
このような無駄なものを買わないことで大分節約できるように思われる。ただこれら小物類の購入を控えたところで、その節約額は高が知れている。おそらく削減できても月4,5千円といったところだろう。
毎月の支出のうちの大半は家賃、食費、光熱費など固定費が占めている。この固定費はほとんどが削減できない類ものだ。だから他のもので支出の削減を達成しなくてはならないと考えていやそれは違うと思った。
つまり通常の人は、毎月の無駄遣い(菓子パンやカフェ代や大きな紙袋など)を控えることで倹約を図ろうとするが、実はそれは間違いであり本当に削減すべきは固定費のほうである、と以前夕方のニュースの小特集でフィナンシャルアドバイザーの人が言っていたのを思い出した。
私が現在、毎月固定的に支出しているものは次の通りだ。
家賃 56000円
食費 たぶん30000円
光熱費 たぶん10000円
通信費 たぶん10000円
健康保険 約13000円
国民年金 約14000円
ケーブルテレビ 約3000円
WOWOW 約2500円
スポーツジム 約6000円
計144500円
このように毎月固定費だけで、144500円もかかっている。
(というか、今初めて計算してみて結構かかっているんだなと思った。)
ここからいえるのは次のことだ。
現状、固定費に無駄なし。
…。
…。
オーケー、認めよう。
ケーブルテレビは余計な支出だ。即カットだ。ケーブルテレビなど富裕層が視聴していれば良い。地上波だけでも事足りる。
これだけ削れば無駄のないスリムな家計を達成できる。誰が見てもそうだろう。文句などあるまい。
…。
…。
ある。
オーケー、認めよう。
WOWOWは解約だ。即刻解約だ。大体において無職の人間がWOWOWを視聴している時点でおかしい。優雅すぎる。そのことには薄々気が付いていた。
これだけ削減すれば数十年後に10億円を貯蓄することも夢ではないだろう。
…。
…。
夢だ。
オーケー、認めよう。身の丈をわきまえよう。現状を認識しよう。
スポーツジムに通っている場合じゃない。
そのことにも薄々気が付いていた。
これでいいだろう。後は食費や光熱費をできるだけ低く抑えるように、自炊をし、節電・節水を実践すれば、5年後には少なくとも2億円ぐらいの蓄えを持つことが出来るだろう。これで将来安泰だ。悠々自適な生活を送れる。ハワイかどっかに移住しよう。想像するだけでハッピーになってきた。
…。
…。
ならない。
オーケーオーケー、現実を見つめよう。私が間違っていた。大きな間違いを犯していた。
問題は支出にあるのではない、収入にあるのだ。つまり収入がゼロということが大問題なのだ。
ということで「なるべく早く就職する」という結論が出た。

またスタート地点に戻ってきた。
明日こそは一歩でも前に進もう、そう思った。