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旅行記 10日目 (チェンマイ)

明け方近く、ぼくがまだ眠りから覚めてないころにナースがやってきて、体温を測ったらちょっと熱があって、やばいなって感じたけど僕は何にもできなくて、ちょっとしてから注射器を持ったナースが部屋に入ってきて例によって「イタイ、イタイ、イタイ、ふふふ。」って言ってきた。ぼくは「イタイ?」と聞いた。本当に怯えてた。しょうがないじゃん。「イタイ、イタイ。」と言いながら刺してきた。賭けてもいいけどこのときの注射は失敗だったと思う。針を抜くときに「うぉっふぉふ。」って言ってちょっと焦りながら「ソーリー、ソリー。」って言ってきたから。凄く痛かった。そのあとまた寝た。
昼前に女医と女性通訳が来た。ぼくはベッドから起き上がらずにいた。めんどくさくて、仰向けに寝たまま、通訳が言う事を聞いていた。どうせただの風邪だろう。通訳の女性は「白血球と血小板の値が下がっている。」と言った。ぼくは少し泣きそうになった。体を起した。事態は暗転。先生ぼくは助かるの、と思った。本当に病気は怖い。女医と通訳は冷静にぼくに話しかけていた。深刻なはずのこの状況に、通訳はなんだかそっけなかった。ぼく大丈夫?と思った。通訳の話は続いた。「デング熱の可能性がある。」と言った。デング熱。聞いたことあるぞ。数日前にNHKニュースでシンガポールで流行っていると言っていた、あの病気だ。蚊に刺されないでくださいと言ってたっけ。ぼくは1週間前にバンコクムエタイスタジアムで蚊に刺されたと言った。「そうですか。」と通訳は言った。なんだかあんまり緊急事態じゃないのかな。女医・通訳は「まあ、まだ検査結果は出てないんですよ、デング熱と言うのは通常1週間後くらいに結果が出るんですね。だからそのころには患者は、完治してるんですね。」と言った。なんだデング熱ってそんなもんか。なんだか分からないけど大丈夫だ、ぼく。
午後。保険会社にTEl。万事こっちに任せろと力強いお言葉を頂く。昼食を食べ、暇になる。廊下にでて、うろつく。エレベーターホール前に本棚発見。『サラリーマン金太郎』があった。読んだ。2日がかりで読了した。面白かった。少しだけ労働意欲が出たのち、消えた。そういうものだ。『サラリーマン金太郎』を読むのに疲れたときは外を眺めた。病院の向かいには巨大な建物があった。廃墟のような外観。くすんだ色の外壁だった。病院なのかな。でも垂れ幕が2つほど出てるぞ。デパートかな。シネコンかな。ガラスの向こうで白衣のような白い服を来た人が歩いているように見えた。やっぱ病院かな。結局なんだか分からなかった。最後まで。
TVも見た。レアルTVがやっていた。でもひたすらリピート放送。退院するまでに同じ映像を8回は見た。とにかく『サラリーマン金太郎』を読んだ。夜。寝た。